キャリア支援企画(6)「シリーズ:心理学を現場で活かす〜心理臨床場面での実践〜」を開催しました

12月29日(月)の5校時に、臨床心理士・公認心理師として病院臨床の現場でご活躍のOGをお招きして、キャリア支援講演会を開催しました。

本学科の学生には、カウンセラーを志望して入学してくる学生もいます。そこで今回は、心理学の専門性をダイレクトに活かす現場の一つである心理臨床現場について具体的なお話を伺う機会をもうけました。

ゲストにお招きしたのは、OHさんで、ゼミ担当教員だった大橋先生が聴き手となって会を進行しました。

Oさんは、本学卒業後、大学院に進学され、臨床心理士・公認心理師の資格を取得されました。現在は福島県の病院(総合病院)で心理士としてご活躍の先輩です。Oさんが勤務されている病院は、東北ではトップクラスの病床数であること、また心理士と聞くと精神科や心療内科に属しているイメージする方が多いかと思いますが、独立した部署であり、全ての診療科と関わり、心理検査(発達検査、認知機能検査など)やカウンセリングを実施していることが語られました。心理士はOさんとその道30年のベテランのご先輩の二人しかいないそうです。Oさんの働いている姿がイメージできましたか?

大学院生活について、実際に現場に行って患者さんや利用者さんと関わる実習がなければご自身がどんな心理士になりたいか具体的に考えられなかったと語りました。印象深いエピソードとして、当初精神科の患者さんに対して漠然と恐いというイメージがあり、病院の心理士はやりたくないと思っていたそうです。しかし精神科のデイケアの実習でその偏見が解けていく体験をされ、「(病気ではなく)”患者さん自身”をもっと見なくてはいけなかったんだな」と感じたそうです。この時の体験が今のOさんの仕事に繋がっているんだろうなと想像しました。

公認心理師の資格取得に話題が転じると、資格取得見込みで就職し、初めての仕事の上、仕事をしながら資格取得の勉強をするという大変な状況を見事突破されました。疲れて帰ってきてまとまった時間に勉強することは難しいため、ハードルを下げ、一問一答を1ページだけ眺めて終わりにするなど、できないことをストレスにしないような工夫をされていたようです。

そんなOさんはどんな大学生活を送っていたのでしょうか。人と関わること自体に興味を持つことが大事だと考え、現場部やオープンキャンパスで積極的にさまざまな人と関わることをしていたそうです。レポート作成において、どうすればわかりやすい文章になるかを推敲することは、その時はとても大変に感じることも、創意工夫や試行錯誤体験が今に活き、未来への投資になったようです。

講演終了後には、多くの質問が寄せられ、Oさんに答えていただきました。Oさんのこれまでの進路選択、生き方についてお話しをうかがい、人の心を扱う職業の覚悟のようなものや、Oさん自身のバランス力に優れた人柄が、学生たちの心に響いたようです。

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以下に学生たちの感想の一部を紹介します。

・当事者の苦しみや自分の価値観が邪魔をするという事実を理解し、対処するために本を読むという新しい目的を知ることができて良かった。本を読む時間を作りたいと思った
・目に見えて治せる訳ではなかったり、根本的なことは取り除けないという無力感や葛藤があるという現状を知ることができた
・実習で偏見が解消されたというお話を聞いて、やはり実際に体験することは大切だなと思った
・自分が職種を選ぶ上で、幅が広がったように感じた
・病院ではカウンセリングや検査しか知らなかったが、チーム医療というものを知った
・自分自身のケアやメンタルマネジメント力も大切となってくると感じた
・実習を経て、気づきがあり、自分の考えが変わることがあったということを聞いて、自分の行動次第で何か気づきが生まれるなら、何事も取り組んで見ることが大切だと思った
・将来の道自体や、その道に進むための様々なことに不安だったが、「もう少しこの夢に自信を持とう」と思えた
・イメージする力、描く力を養いながら今後の大学生活・勉強を頑張っていきたいと思った

(千葉陽子記)