【もりのこどもえんだより:巻頭言】クリスマス

クリスマス

末光 眞希

宮城学院と同じ押川方義を創始者に戴く仙台東一番丁教会の教会学校長を、 かれこれ30年間つとめています。教会学校では毎年12月第2週の日曜日にクリスマス礼拝を守ります。まずはみんなで聖誕劇を上演します。手作りのコス チュームに身を包むと、気分はすっかり二千年前。男の子たち鉄板の一番人気は ローマ兵です。「みなのもの、よーく聞け。皇帝アウグストさまの命令を伝える。これから全員、生まれた町や村に行って自分の名前を届け出るのだ。すぐにだぞ、 わかったな!」頭を地面にこすりつけ「ご慈悲を!」と哀願する村人たち(=教会学校の先生たち)をしり目にさっそうと舞台を立ち去るのは、わんぱく小僧たちにとって何ものにも代えがたい快感なのでしょう。

劇のあとはお祝いの食事を囲み、ゲームをしたり、出し物を楽しんだりします。 その時、なぜか毎年タイミングよくサンタクロースがプレゼントの入った大きな袋を携えて登場するのです。どこかで見たような顔、どこかで聞いたような声なんだけど・・・と子どもたちは半信半疑。しかしローマ兵が抜けきらない生意気盛りのうちの二男とその友人はあくまで現実主義者です。「真実」をすっかり見抜いて叫びます。「このサンタさん、にせものだー!」まずい、親の顔が見たいと校長は焦ります。しかし調子に乗ったガキどもは叫び続けるのです。「ほんものは、クリスマスの夜に来るんだい!」

現実と空想の世界を往ったり来たり、これがこどもの素晴らしさですね。

(もりのこどもえんだより12月号掲載)