お父さん、人生だね!
末光 眞希
夏の甲子園は仙台育英が見事、優勝しました。東北の高校としては春夏合わせて甲子園で13 回目の決勝戦でついに勝利し、第104 回大会にして、ついに優勝旗を白河の関のこちら側に持ち帰ってくれたことに格別の思いがこみ上げます。もう一つ嬉しかったことは、育英のチームが、強さだけでなく、人の集団として 本当に素晴らしかったことでした。須江監督は優勝インタビューで、コロナ禍で育った今年の3年生が「入学どころか、たぶんおそらく中学校の卒業式もちゃんと」できなかったことに思いを馳せ、「青春ってすごく密なので・・・そういうことは全部ダメだ、ダメだと言われ」た中で、「本当にあきらめないでやってくれた」と選手を讃えました。そして、「ただ最後、僕たちがここに立ったというだけなので、ぜひ全国の高校生に拍手してもらえたら」と締めくくったのです。この言葉に全国から感動の声が寄せられたことは皆さんご存知のとおりです。 今年の流行語大賞は「青春は密なので」で決まりですね。
二男がまだ幼稚園のころ、知人の家庭にご不幸があり、東鳴子のご実家に弔問に訪れたことがあります。その帰り、せっかくだからと息子と二人、川渡温泉・藤島旅館に立ち寄りました。脚気に効くと言われる硫黄泉の大浴場に親子二人して浸かり、ふーっとため息をついた時に息子が発した言葉が表題の言葉でした。生まれてまだ数年しか経たない幼な子が、その場にもっとも相応しい、これ以上ない言葉を紡ぎ出す。そのことに深く感動しました。
「今日が、こども園最後の8月だね!」と話してくれた年長さんがいました。年長さんにとっては、園で過ごす毎日毎日がきっと「こども園最後の」何かなのでしょう。こどもはその時間のかけがえのなさ、大切さを感じる天才だと思います。
(もりのこどもえんだより10月号掲載)