2020年3月19日
卒業生に贈る言葉
宮城学院女子大学学長
平川 新
4年生のみなさん、そして大学院修士課程2年生のみなさん。ご卒業、おめでとうございます。本日、みなさんに学位記を授与できることを、大変うれしく思います。
現在、日本だけではなく世界中で、新型コロナウイルスの感染問題が発生しています。その影響を受けて、本学の卒業式も講堂での開催を中止し、教室に分かれての分散形式となりました。みなさんの人生にとって記念すべき大切な行事が、十分な形で開催できないことを大変残念に思います。保護者やご家族のみなさまがご参列できない卒業式になりましたことについても、申し訳なく思っております。
人類はこれまで、ペストやコレラ、天然痘や結核などの重大な感染症とたたかってきました。新型コロナウイルスの騒ぎも、やがて人類の知恵によって克服されるものと思います。そうやって人間社会は持続してきたからです。
人間にとっての脅威は、自然災害にもあります。東北に住む私たちは、今から9年前の2011年3月11日に、東日本大震災という、極めて大きな災害に見舞われました。地震が引き起こした津波によって2万人近くの人たちが犠牲になり、福島第一原発の爆発事故によって、未だに数万人の方たちが自分の故郷に戻ることができずにいます。無念なことだと思います。
その一方で、この九年間、被災地の人たちは立ち直るために精魂を尽くし、多くのひとたちもまた、災害から生命や生活を守るための工夫に、必死に取り組んできました。その結果、様々な分野において災害への備えが進んでいます。
人間社会はこれまで、幾度も危機的な状況に遭遇し、それらを乗り越えてきました。それが人類の歴史なのです。
みなさんもこれからの人生において、幾つもの苦難に遭遇するかもしれません。しかし、人類の歴史がそうであったように、それらとたたかい、それらを乗り越えることによって、みなさんの人生は新しいステージへと展開していくことになります。
夢を持ってください。そして希望を語ってください。夢があり、希望があるからこそ、ヒトは生きるエネルギーを生み出してくるのです。
これから新しい人生に踏み出すみなさんに、次の言葉を贈って、私からの祝辞といたします。
「志があれば、きっと道は開ける」
ご卒業、おめでとうございました。