東日本大震災から1年 – 宮城学院の復興へのあゆみ –
2011年3月11日という日は、東北日本だけでなく、日本全体にとって、痛ましくも、また忘れがたい、忘れてはならない日となりました。それは宮城学院にとっても同じでありました。宮城学院の建物全体が激しい揺れに襲われました。ライフラインが途絶しましたが、勤務中の教職員一丸となって、キャンパスにいた学生生徒380人ほどを保護し、情報の収集と帰宅困難者のための手当にあたりました。日を追って被害の詳細が知らされ、福島原発緊急事態のニュースにも懸念が深まっていったこと、などが私たちの記憶にやきついています。
宮城学院に大震災がもたらした痛みは次のようなものとなりました。
津波の襲来で、海岸部にいた、女子大の4年生、高橋紗織さんと2年生、阿部茉莉奈さんが亡くなりました。入学予定だった1名も命を奪われました。宮城学院同窓会では、岩沼などにお住まいの方々など20名余が犠牲となりました。
建物の損壊は幸いに大きくはなかったものの、2体のパイプオルガンなど、施設設備等の被害は、2億8千万円に上りました。
親や家族を失ったり、家屋がこわれ、保護者の家計が失われた学生生徒には、授業料免除などの支援を受けて実施しましたが、対象者は6百数十名、金額で4億円となりました。教職員の多くも被災を経験しました。
私たちは、被災の後、懸命に復興の仕事に取り組みましたが、そのときに想起したのは「神は耐えられないような試練に遭わせることはなさらない」とのみ言葉でした。それからの宮城学院の試練克服の歩みは、その通り、神の守りによって着実であったと思います。4月に施設の修復を急ぎ、4月27日に、被災者ヘの慰めと復興へのはげましを祈る礼拝をもち、幼稚園を最初として5月には学校の授業を再開できました。また、より厳しい被害にあわれた方々のために、早くよりボランティア活動を志す学生・教職員が多数出てきました。学院としても大学講堂を公開して、音楽やミュージカルで被災者にはげましを提供する試みに協力しました。「神を畏れ、隣人を愛する」とのスクールモットーは、この大きな災害に際して、あらためて私たちの導きの言葉となりました。
海外を含めて、とても多くの方々や学校から、膨大な献げものをいただきました。公的な補助と合わせて、上で述べたような、被災した学生生徒への支援を進めることが出来ました。ここにあらためて感謝申し上げます。
大震災1年を迎えて、宮城学院はいつもの年通りに入学試験を実施でき、新しい年度の入学生を与えられています。日々の教育を滞りなく行っています。これからの諸計画をも構想できるようになりました。もちろん私たちは、震災で悲しみを負い、痛みがなおいやされない学生・生徒たちのことを忘れてはおりません。さらに東日本の広い地域、ことに福島県の方々の苦しみへの支援を続けたいと念じています。
下記の通り、宮城学院として、震災で天に召された方々を追悼し、痛みを負われた人々への慰めを祈り、またこの1年の復興への歩みを守って下さった神に感謝して、新たな1年への祝福とお見守りをも願う思いをこめ、記念の礼拝を持つことといたしました。 大震災1年を迎え、宮城学院の試練と復興についてご報告申し上げ、日頃宮城学院にご支援いただき、お祈り下さっている皆さまに、深く感謝してご挨拶といたします。
宮城学院理事長・学院長
松本 宣郎
記念礼拝概要
日時 3月21日(水)16:30~17:15
司式 酒井 薫 中高宗教主事
説教 保科けい子 仙台東一番丁教会牧師(宮城学院評議員)
奏楽 三友安紀子 音楽科副手
挨拶 松本宣郎 学院長