特別教育計画「ダン・タイ・ソン先生によるピアノ公開レッスン」を開催しました

6月16日(木)、音楽館ハンセン記念ホールで、特別教育計画を開催しました。
第8回 仙台国際音楽コンクール ピアノ部門審査員のダン・タイ・ソン先生をお招きし、公開レッスンを行いました。
先生は、1980年 第10回ショパン国際ピアノコンクールでアジア人として初めて優勝を果たされ、その後、国際的ピアニストとして演奏活動を行ってこられました。近年は優れた教育者として多くのピアニストを育てておられます。先生のお弟子さんのブルース(シャオユー)リウ さんが2021年第18回ショパン国際ピアノコンクールで優勝したニュースは記憶に新しい出来事です。
先生は、2016年にも宮城学院で公開レッスンを行ってくださいました。6年ぶりの宮城学院訪問について「懐かしい気持ちです」と語ってくださいました。
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今回は、音楽科学生が、スクリャービン作曲「2つの詩曲 作品32」を受講しました。
この曲は1900年代初頭にロシアで作曲されました。スクリャービンの音楽は前期と後期で作曲語法が大きく異なりますが、この作品は後期のはじめに位置する作品です。
先生は、まず広い視点で作品と向き合い、当時の時代背景、文化的背景などを考え、作品の理解や解釈を深めていくことを勧めてくださいました。
この作品は第1番と第2番で、対照的な性格をもっています。第1番は優しく柔らかな響きが求められ、反対に第2番は情熱的で力強い音楽です。先生はそれぞれの曲の演奏技法について、時折ご自身で演奏しながら解釈してくださいました。漂うような音の響き、ハーモニーの変化、繊細な旋律の動き、旋律と伴奏部を調和させながら丁寧に弾き分けていきます。先生の醸し出す音色に、会場は柔らかく包まれるようでした。
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最後に、会場の学生たちに向けて「音を正しく演奏することだけでは音楽にたどりつきません。『音楽』はその先にある、ということを忘れないで」と、メッセージを寄せてくださいました。
音楽科では、3年ぶりの公開レッスン開催となりましたが、先生ご自身にとっても、新型コロナウイルス流行後初めてのマスタークラスだったそうです。
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ダン・タイ・ソン先生、素晴らしい時間をありがとうございました。