「仙台国際音楽コンクール」は仙台市が2001年に創設し、3年ごとに開催しているピアノとヴァイオリンの2部門によるコンクールです。
予備審査を通過した才能溢れる若い演奏家たちが仙台に集い、優勝を目指して競い合います。
第7回 仙台国際音楽コンクールが開催中です。
〔ピアノ部門:5/25(土)~6/9(日)ヴァイオリン部門:6/15(土)~6/30(日)〕
6月5日(水)、「第7回 仙台国際音楽コンクール」ピアノ部門 審査副委員長のマッティ・レカッリオ先生をお招きし、公開レッスンと講座を開催しました。
前半の公開レッスンでは、学生が先生の指導を受けました。
受講曲はリスト作曲 《巡礼の年 第2年「イタリア」より ペトラルカのソネット 第104番》。リストがイタリアの詩人ペトラルカの詩集から3篇を選んで作曲した3曲のなかの1曲です。
先生は、まず最初にこの3曲を対比させながら、作品が作られた背景をよく理解すること、詩の世界を十分に読みこむこと、言葉(イタリア語)の響きや軽やかなリズムをイメージしながら表現することなど、様々な角度から指摘してくださいました。
この作品は、重々しい響きで表現される劇的な場面と、優雅で情感溢れる旋律との対比が魅力的な作品ですが、腕の使い方、体の動き、力の乗せ方など、様々なテクニックを使いながら、楽譜に書かれている細かいニュアンスを丁寧に読み解いていきました。
喜びと悲しみといった対極にある感情を自由に、そして大胆に表現することを心がけると、表現の幅が広がっていくことを体感しました。
後半は、学生からの質問に、先生が答えてくださいました。
「自分の音楽を豊かにするために、普段からどんなことに心がけたらいいですか」
―様々な本をたくさん読むこと。音楽以外のことにも関心を持ち、知識を深め、見識を深めること。歴史や政治など、社会に目を向け、ひとりの人間としての豊かな成長をめざすこと。自分の専攻以外の楽器や様々なジャンルの音楽にも触れてほしい。楽器の構造などについても学ぶ必要がある。
「指使いについて、注意すべき点は」
―運指法について、長年研究を続けており、論文も執筆しているが、大きく分けて2つの原則がある、と考えている。ひとつはショパンやラフマニノフの系統、もうひとつはチェルニーからリストにつながる系統である。演奏者一人ひとりの体の特性や骨格にあわせて、最良の指使いを考えていくことが必要だ。
「これからの若いピアニストに必要なことは」
―幅広く勉強すること。同時に集中して勉強することが大切。
前回(第6回)に引き続き、審査をなさっていますが、今回のコンクールのレヴェルの高さを高く評価され、「とても楽しく聴いている」とおっしゃるレカッリオ先生。
お忙しいスケジュールの合間に来校くださったレカッリオ先生に心から感謝し、先生の深い見識と、音楽に真摯に向き合い、探求し続ける姿勢から、多くのことを学ぶことができ、素晴らしい時間を過ごすことができました。