近代建築6月号別冊 卒業制作2026に卒業設計作品が掲載されました

近代建築社より発行された近代建築6月号別冊 卒業制作2026に昨年度の卒業生 佐藤小雪さんの作品「つどう駅前、ひらく暮らし —地方都市における都市再生のための多世代複合施設の提案」が掲載されました。

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作品コンセプトは以下のとおりです。

自然にかえる建築 —廃棄物削減のための再生素材建築

設計概要 

  本計画は、駅前空間の衰退が課題となっている地方都市の現状を背景に、駅前を再び人が集い、滞在し、暮らしが育まれる場所へと再構築することを目的とした提案である。計画地は福島市中心部、JR福島駅に近接する旧中合福島店跡地である。近年、人口減少や郊外型商業施設の発展などにより駅前の活力低下が見られ、さらに福島市では夏季の厳しい暑さが屋外活動を抑制する要因ともなっている。本計画では観光客の誘致に依存した再開発ではなく、地域住民が日常的に利用し、多世代が関わることのできる複合施設を計画した。敷地中央に「風の道」を設け、その両側に建物を配置することで、駅前に風と人の流れを生み出す構成としている。水路や植栽などを取り入れ、暑さに配慮した快適な外部空間を形成する。また、低層部には商業機能、中層部には公共施設や医療、高齢者・子ども施設を配置し、上層部には多世代が暮らす住戸を計画した。交流と暮らしが重なる駅前拠点を提案している。

制作テーマについて 

本制作では、地方都市における駅前のあり方をテーマとした。多くの都市で再開発が計画されながらも実現に至らない状況や、駅前が通過空間になっている現状に関心を持ったことが発想のきっかけである。特に、福島市の駅前が持つ立地の良さと一方で人が滞在しにくい環境に着目し、観光に依存するのではなく、地域住民の日常の利用から都市の活力を生み出す空間を考えた。多世代が関わり、継続的に使われる駅前の可能性を探求している。

宮城学院女子大学 佐藤小雪

推薦の言葉

佐藤小雪さんの卒業設計「『つどう駅前、ひらく暮らし』―地方都市における都市再生のための多世代複合施設の提案」は、設計者の地元である福島市の中心部において、地方百貨店の閉店、市街地再開発計画の頓挫に端を発している。そこから、地道な現地サーベイや文献調査などをおこなって、地方都市における中心部の空洞化、都市高温化現象、再開発における高層マンションと低層の小さな商業施設というビルディングタイプの画一化など、地域社会や局所気候など多面的な都市問題に対して、建築空間による提案がどのように解決の糸口を探しうるかというテーマに取り組んでいる。提案は夏の卓越風方向に対して「風の道」を設定し、おおきなヴォイド空間を差し込んだ建築物としてたち現れる。二つの街区を一つにまとめ、さらにこのヴォイド空間を通り抜け空間として公開空地に設定することで公共性を担保しつつ、商業、教育、医療、住宅、レクリエーションなどの複合的な機能を組み込んだ建物は、山から下る夏の風を中心市街地に導くとともに、周辺の施設と連携しながら新たな路地空間をまちなかに作り出している。施設規模も、商業床部分を権利床、住宅等を保留床として設定することで、一定の実現性をもった設定をおこない、都心居住施設と商業的複合施設の両面で環境が整う意欲的な提案となっている。詳細な模型と、図面表現も合わせて、学内外の講評会などにおいて高い評価を得た。

安田直民 宮城学院女子大学 生活文化デザイン学科教授

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