環境文化見学研修 「台湾」 〜台南編

環境文化見学研修「台湾」 〜台北編に続き、台南編です。台湾新幹線(台湾高速鉄道)で台北から約1時間40分、台南を探訪します。

オランダが1624年にゼーランディア城(安平古堡)を築いてから約400年というのが台湾の近代史の始まりですが、それはここ台南を舞台にしています。そういう意味で台南は台湾の古都、京都に例えられることもある町です。

台南の見学は河楽広場をスタート。

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ここは2020年にオランダの建築家集団mvrdvによってデザインされた広場で、1980年代に建てられたショッピングセンターの跡地を親水公園に作り変えました。ラグーンの広がり、運河が主要な交通手段であった台南の地形的な特徴をくみとり、古いショッピングセンターの地下構造体を再利用しながら、水遊びができるサンクンスペースを作り出しています。イベントスペースとして大きな可能性を感じますが、まだまだ積極的な利用には至っていないようです。

その後、台南の古い街を歩いて見学しました。台南は北回帰線より南の熱帯モンスーン気候帯に属していますから、台北より一段と暑く、徒歩移動はなかなか応えますが、興味の尽きない町並みは疲れを感じさせません。

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大きなグリーンベルトやピロティ空間をもつ街区設計は日本統治時代のもの、その中に複雑に張り巡らされた路地とレンガ造の建物は清朝時代のものです。現代の建築家アートワークを挟み込みながら、歴史が重層的にあらわれる町並みはたいへん魅力的です。

河楽広場から寄り道を繰り返しながら、40分ほど歩いて台南美術館2館に到着しました。

 

ここは坂茂氏によって設計された新しい美術館で、四角い展示スペースが積み上げられて、その上には直射光を遮る五角形の巨大なルーバー屋根が架けられている複雑な形をした美術館です。

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見学後、台南名物の担仔麺(タンツーメン)の名店、度小月で昼食、

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林デパート(台南最古の百貨店、1932年山口県出身の林方一により設立)に立ち寄って、いざ、ゼーランディア城(安平古堡)へ。かつては海に突き出た砂州の上に立てられた城塞も、いまでは賑やかな街の中にポツンと残る遺跡のような場所です。

隣接する安平樹屋にはガジュマルの木に侵食された倉庫跡が、古代遺跡のように保存されています。

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ここはイギリスの貿易会社徳記洋行の倉庫跡(その後、日本統治時代には製塩工場の倉庫となっていました)で、約100年の間に建物が巨大な樹木に飲み込まれる様子が観賞用ルートの上から見学することができます。

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盛りだくさんの台湾研修、台湾近代史のはじまりの場所であるゼーランディア城とその周辺地区の見学で締めくくりました。

参加した学生も、これをきっかけに台湾にとどまらず、国内外の様々な生活、環境、文化、歴史に興味を持ってほしいと思います。

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