2022年度日本文学科伝統文化教育プログラム「能を学ぶ!」を開催しました

 

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6月20日、喜多流能楽師である佐藤寛泰 師をお迎えし、2022年度日本文学科伝統文化教育プログラム「能を学ぶ!」を開催しました。

日本文学科伝統文化教育プログラムでは、歌舞伎、文楽、能という、ユネスコ無形文化遺産にも登録されている日本が誇る伝統芸能について、通常の講義だけでなく、劇場に出向いて生の舞台を観劇したり、その道のプロに来ていただいて直にお話をうかがうなど、「本物に触れる」学び、「実地に体験する」学びを大事にしています。

さて、講師の佐藤寛泰 師は、仙台藩お抱え、能楽喜多流・佐藤家の12代目として、普段は東京を拠点に公演活動などをされています。

日本文学科ではこれまで毎年のように佐藤先生においでいただき、特別講座やワークショップを開催しておりました。コロナ禍により一時休止となりましたが、ようやく今年度より再開することができました。

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能楽とは一体何か?

先ずは能の歴史、特に喜多流の歴史についてお話しいただきました。戦国武将と能の関係などは歴女の皆さんにとって興味深い話だったのではないでしょうか。

能の舞台における三間四方の原則。舞台を支える柱にそれぞれつけられた名前。能舞台の正面奥に必ず描かれているもの。また、なぜそれが描かれるのか?などということがらを佐藤先生は丁寧に教えてくださいました。観客席がL字型になっているというのも能ならではのお話ですね。

小面(こおもて)、獅子口、邯鄲男。

今回、佐藤先生は3つの能面を用意してくださいました。曲目ごとに使用する能面はだいたい決まっているとか、面に付けられる紐(面紐)の色などは男面か女面かなどによって異なるとのこと。

さて、能面の扱い方について教えていただいた後、実際に日本文学科の1年生3名がステージに登壇、能面を装着させていただくことになりました。緊張した面持ちで自分の番を待つ学生たち・・・

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いざ装着してみると、予想以上の視界の狭さに驚きます。両腕を伸ばして指で丸を作ってみてください。その丸が、能面をつけた際に見える視界となるそうです。能面をつけたまま歩くよう促され、視界が狭いこともあってか自然とすり足になっていたようです。体験を終え、面を外した学生たちが皆一様に「とても熱かった」と話していたのが印象的でした。能楽師の皆さんはその能面をつけて2時間以上の舞台を演じるわけです。「舞台が終わると2~3キロ体重が落ちますね」という佐藤先生の一言に尽きると思います。

後半には参加者全員で謡(うたい)を体験してみよう!ということで、有名な能の演目である「高砂」を、佐藤先生にならって謡ってみました。「高砂」はご存じ、祝言(和風の結婚式)で謡われることの多いお祝いの曲ですね。束の間の貴重な体験となりましたが、学生たちはたどたどしくも謡いあげていたようです。

最後には質疑応答の時間も設けていただき、佐藤先生にはこの度も大変お世話になりました。今年度はまだ叶いませんが、いつかまた佐藤先生の舞台を皆で観に行ける日が待ち遠しいです。先生、ありがとうございました。