日本文学科の日本語教員養成課程の授業では、今年も活発に日本語学習者と相互に学び合う交流学習を行っています。今回は6月までに行ってきた各クラスの交流学習の例を紹介したいと思います。
- 2年生「日本語教育演習Ⅰ」
このクラスでは、千葉モードデザインビジネス専門学校日本語科の留学生クラスとのコラボレーションで2回のオンライン交流授業を行いました。1回目の交流授業では、自己紹介、宮城県紹介、留学生の国クイズと言葉の紹介をする時間となりました。留学生の国籍はモンゴル、中国、ベトナム。モンゴル語、ベトナム語を教えてもらい、学習者の気持ちを味わいながら、クイズでも盛り上がりました。留学生の皆さんが一生懸命プレゼンテーションを準備してくれたことに心から感動しました。
2回目の交流授業は互いに気になること、知りたいことを聞き合うインタビューの時間でした。「日本のどこに行きたいですか」という質問に対し、「ディズニーランドに行きたいです」と答えた本学の学生に、千葉県に住む留学生が笑顔で「私も行きたいです。コロナが終わったら一緒に行きましょう」と誘ってくれる一コマも。意外な発見や共通点が見つかったりして、和やかで楽しい時間となりました。本学の学生にとっては、初級段階の留学生と話す際にどのような日本語を使って話したらわかりやすいかを具体的に経験しながら学ぶこともできました。
写真1 留学生とのオンライン交流で「ドラえもんが好き!」との共通点が見つかり、互いに持っているペンケースを見せ合う場面
- 3年生「日本語教育発展演習Ⅰ」
この授業は日本語教育専攻のゼミです。前期は海外の大学における日本語学習者とのオンライン交流学習をメインに進めてきました。韓国ソウルにあるホンイク大学の学生とは、授業外の時間にも学習パートナーと一対一のオンライン交流対話を二度行い、オンラインツールのPadletを使って「もし日本/韓国で働くとしたら・・・」どんな情報が役立つかを考えながら、情報を投稿し合うページを日本語で一緒に作り、ほかの人の投稿を読みながらその内容について対話するという活動も行いました。
写真2 韓国の大学生と共同で作った情報ページ(Padletを活用)
また、6月からは韓国のセミョン大学の大学生、中国の北京理工大学珠海学院の大学生の有志とともに絵本プロジェクトを新たに始めました。それぞれの大学の学生が日本の絵本を中国語、韓国語に翻訳、外国人日本語学習者にもわかりやすい「やさしい日本語」バージョンに書き換えて、国内外の外国や日本につながりのある子どもたちに読み聞かせ会を企画実施するプロジェクトです。6月21日にはキックオフとして、三大学の学生がオンラインでつながり、翻訳する絵本について感想を述べ合いました。動物が主人公の絵本なので、絵本の中には動物の鳴き声も出てきます。絵本をテーマに話す中で三カ国語の動物の鳴き声について比較するのが楽しかったという感想も多く聞かれました。
写真3 中国、韓国の大学生と絵本について話している様子
- 4年生「日本語教育実習Ⅰ」
4年生は日本語教員養成課程の集大成です。これまで様々なプロジェクト型交流学習を通して日本語学習者と学び合ってきた学年です。この学年では子どもから大人まで様々な背景を持つ学習者に向き合い、学習者の背景や関心を理解したうえで授業をデザインする実践を行っています。
5月には城西国際大学の韓国語コースの学生と連携して、国内外の子どもに向けた「韓国絵本読み聞かせ会」を実施しました。城西国際大学の学生が韓国絵本を日本語に訳した原稿を受け取り、本学の学生が「やさしい日本語」版に書き換えた絵本を、子どもたちに読み聞かせながら交流するというイベントです。韓国の「くすのき日本語教室」(日本につながりのある子どもの日本語教室)と日本の「外国人の子ども・サポートの会」の子どもたちを対象に行いました。様々な年齢、様々な日本語レベルの子どもたちといかに向き合い、楽しく学べる時間を作るかについて実践を通して学ぶ貴重な経験となりました。
写真4 日本・外国つながりの子どもを対象とした絵本読み聞かせ会での交流の様子
また、本学の現代ビジネス学科に入学したばかりのベトナム人留学生に日本語を教える実習も行いました。テーマは「ベトナム料理を日本の学生に紹介してみよう」。日本の大学生はベトナムの料理に興味津々です。授業では、留学生が日本の大学生に紹介したいベトナム料理を選び、一緒に料理表現などを学びながらレシピを書いてみるというタスクを行いました。学期末にはそのレシピを見ながら一緒にオンライン調理実習をやってみよう!と話しています。
写真5・6 料理の語彙やレシピの作り方について説明する4年生の様子
このように日本語教員養成課程のクラスでは、国内外の子どもから大人まで、様々な日本語学習者とつながり、コミュニケーションの経験を重ねることを重視しています。日本語教育の実践と学びは、ともに尊重しあえる温かい社会づくりにつながります。コロナ下ではありますが、オンラインツールを用いてつながれるメリットを活かしながら、これからも教室の外の人々との交流学習を通じて、学びを深め、実践力を高めていきたいと思います。