日本文学基礎演習研修旅行のご報告

trip今年も日本文学科では、1年生全員で日本文学基礎演習研修旅行に出かけてきました。5月27日から28日にかけて1泊2日の旅を楽しんできました。今年は昨年度と同じく、岩手県「日本初の近代的国語辞典『言海』・宮沢賢治・石川啄木巡り」と、秋田県「みちのくの小京都:角館巡り」の二本立てです。

当日は雨という予報が嘘のよう。太陽を味方につけた日本文学科の学生たちは、先ずは一関市博物館へ向かいました。

 

 

 

一関市博物館は宮城学院女子大学近くのインターより車で1時間ほどの場所にあります。近くには名勝天然記念物として有名な厳美渓があります(空飛ぶだんごご存じですか?)。

ここで、学生の感想をひとつご紹介します。

 今回研修として足を運んだ施設は、何処も初めて訪れる場所だった。特に宮沢賢治記念館は前々から行ってみたいと思っていたので、この研修旅行は非常に楽しみにしていた。

 一関市博物館では、江戸時代の計算方法を学ぶ展示が面白かった。当時の人達が色々と試行錯誤をして計算していたことが分かったが、計算方法の解説を読んでも現代では逆に難しく感じてしまった。博物館の取り組みとして、当時の方法で計算問題を解いたりする活動もあり面白いと思った。

 宮沢賢治記念館では、賢治の原稿だけではなく本人が興味を持った星や石の関連の展示も見られて良かった。文学以外にも多岐にわたって興味を持ち、どの学問にも非常に濃い学びをしていたことが分かった。

 短い時間ではあったが、その他に角館の武家屋敷などを見学し、充実した時間を過ごすことができた。これからの大学での学びに生かしていきたいと思う。(A・Yさん)

一ノ関博物館を見学後、日本文学科の卒業生が元気に働く場所で昼食をとり、さらに文学巡りをするため、宮沢賢治記念館と石川啄木記念館を訪問しました。宮沢賢治記念館は学生に人気の場所です。自然豊かな場所にあり、空気も綺麗です。

石川啄木記念館では、記念館はもちろん、同じ敷地内に移築された旧渋民尋常小学校(石川啄木の母校)や、近くにある宝徳寺(石川啄木の父親が住職だった寺)を見学しました。また散歩がてら、渋民公園にある石川啄木の歌碑を見学した学生たちもいました。

ここでもうひとつ、学生の感想をご紹介します。

  「不来方のお城の草に寝ころびて空に吸はれし十五の心」

 私の祖母の家はこの歌に詠まれた不来方城の近くにある。私が十五歳の時、岩手公園にあるこの歌が彫られた石碑を見てかなりの衝撃を受けた。自分と変わらない年の人間が、このような歌を詠めるのか、と。石川啄木、彼はどのような人なのだろうか。

  彼の夢見た家を模した記念館の中で、短い彼の生涯に触れた。正直褒められた生活ではないと思う。親友の金田一京助からの借金は多額であるし、職は続かな い。だがそれでも金田一との友情は続き、家族も離れてはいかなかった。彼の人柄が良かった証ではないかと思う。彼の直筆原稿や手紙の文字は目を見張る程に 綺麗であった。恐らく彼は真っ直ぐで純粋だったのだろう。自分の求める文学を追求し、短い人生を生き抜いた啄木。孤独を歌う彼はけっして独りではなく、彼 を信じた周囲の人との絆に満ち溢れた人生を歩んだのだろう、と彼の生きた同じ場所に立って感じた。(H・Aさん)

研修旅行2日目も美しい晴天に恵まれました。岩手県より秋田県に移動し到着した場所は、美しい緑と厳かに立ち並ぶ武家屋敷のしっとりとした風情が素晴らしい角館です。角館では自由散策となりました。青柳家のみ全員で見学した後、学生たちはそれぞれ好きな場所を自由に歩いて回ったようです。

今年の研修旅行も、それぞれにとって思い出深いものとなったのではないでしょうか。大学に入学して2ヶ月。慣れない大学生活に戸惑っていた学生たちにとって、良い気分転換になったかもしれません。新しい友達ができるキッカケにもなったことでしょう。そして、文学との出会いもありました。

2日間という短い間でしたが、この旅行を通して抱いた想いを、それぞれが大事にしていって欲しいと思います。