英文学科教員の藤崎です。私が担当する授業は4skillsつまり、話す・聞く・書く・読む授業です。私の研究は、英語読解と批判的思考(クリティカルシンキング)です。批判的思考は、日本ではまだあまり馴染みがないのですが、簡単に言うと「情報を疑い、騙されないようになるための考え方・スキル」です。このスキルは欧米では就職採用試験に出るほど一般に知られています。ですから日本でも早く広がる様、私は特に英語読解授業でこのスキルを身につけるための読解練習授業を行っています。複眼的(一つの考え方にとらわれない)に考えながら行う読解力は、受け身で読むと身につかないスキルなので、能動的に読むためにワークシートを用います。ワークシートの中身は、タイトルのキーワード・筆者の主張・論調・行間を読む・隠されたフェアでないテクニック・根拠を中心とした質問項目から構成されます。
教材は、日本と海外の複数のメディア(ほとんどが新聞社)によって書かれた、同じトピックに関する英文記事を用い、これらを比較読解します。その理由は、同じトピックでもメディアによって主張が大きく異なっているからです。各記事の相違点、類似点をグループワーク中心に読解し、グループ毎にパワーポイントを作成し発表してもらいます。日本のメディアによって書かれた記事の比較読解だけでも違いはわかりますが、欧米のメディアによって書かれた記事と比較すると、よりはっきりと相違点が浮かび上がる事がわかります。
今年前期に選択したテーマは、日本の男女平等ランキングが世界で121位だった結果を受け、その記事と夫婦別姓・同性婚に関する記事を読み進めました。同時に、事実と意見の違い・メディアリタラシー・特にメディアの政治的思想を学習しました。テーマに対する学生の皆さん自身の意見もまとめそれを話し合い、記事の全てを鵜呑みにするのではなく、筆者の記事を書いた意図を読み取るスキルを習得することを目的としています。