「ことばの気づき」に関する公開講演会を開催しました

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11月30日(木)に言語の認知科学に関して興味深い研究をなされている大津由紀雄さん(慶應義塾大学名誉教授、関西大学・中京大学客員教授)をお招きし、「ことばへの気づきとその発達」「ことばの教育の実現に向けて」の演題で二つの公開講演会を開催しました。
講演会には学内外から約100名の参加者があり、参加者からの質問も多くこの領域での関心の高さがうかがわれました。

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最初の講演では、まず母語におけることばへの気づきの発達段階に関して、実証的研究の紹介がありました。次に、ことばの気づきは、年齢と共に自然に発達しますが、外的な働きかけがその発達に大きな影響を与えるため、その働きかけの重要性が提案されました。母語を効果的に用いるには、母語の仕組みに関しする気づきが不可欠であることが示唆されました。

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二つ目の講演では、最初の講演をうけて、国内に見られる「複言語主義」の誤解、言語教育の現状(母語の運用能力の低下と英語の知識不足と運用能力の低下)、小学校から大学までの英語教育政策の問題とその原因が示された後に、国語教育と外国語教育が一体化した「日本型複言語主義」が提唱されました。さらに、日本型複言語主義を推し進めるための教材例が提示されました。

二つの講演を通して、ことばの仕組みの面白さに気づくことが、自分とは異なる文化を受け入れる全人的な教育の中心に位置することを深く認識させられた講演となりました。

関心のある方は、大津由紀雄さんの著作にあたることをお勧め致します。