2025年度第1回人文社会科学研究所公開研究会「文学研究とフィールドワーク(1)文学の〈居場所〉――マンチェスターとエディンバラにおける実践」を開催いたします。

2025年度第1回人文社会科学研究所公開研究会「文学研究とフィールドワーク(1)文学の〈居場所〉――マンチェスターとエディンバラにおける実践」を下記の通りに開催いたします。
テーマに関心のある方はどなたでも参加できます。
ぜひ、ご参加ください。

文学研究とフィールドワーク(1)

文学の〈居場所〉――マンチェスターとエディンバラにおける実践

 

報告者:酒井祐輔(英文学科)

日時:12/11(木)16:30~17:10

(16:30~16:55 調査報告、16:55~17:10 質疑応答)

場所:オンライン(Zoomミーティング)

参加申込:下記フォームより、12/10(水)12時までにお申込をお願いいたします。

Zoomアドレスは、前日までに発行いたします。

 

/forms.gle/14E8WMRPjXogsRrm6

 

キーワード:

文学、批評、文化政策、グローバル化、地域振興、観光、リテラシー

 

 

 

概要:

この激動する時代に、文学は人々の〈居場所〉をつくれるのか。そもそも、文学に〈居場所〉は残されているのか。近年の研究は、文学の制度が近代の商業社会や国民国家の形成、冷戦リベラリズムといった政治・経済との結びつきのなかで成立した営みだったことを明らかにしつつある。だとすれば、政治・経済の編成が変化すれば、20世紀的な文学の営みもそのままでは通用しなくなるだろう。

実際、英国においてはポスト産業化の進展や文学・文化分野への公的支出を手段主義的に正当化せざるを得ない状況の広がりなどを背景に、いくつかの地方都市で、文学を文化政策や地域振興に取り込む動きがある。こうした動きを支えている制度的枠組みのひとつが2004年に始まったUCCN(ユネスコ創造都市ネットワーク)である。

他方で、文学の可能性を照らし出すはずの批評に関していえば、その「暴露」の身振りが機能不全に陥っているとの指摘がある。ブルーノ・ラトゥールやリタ・フェルスキらが「ポストクリティーク」を提唱した背景にも、従来の批評スタイルでは上述のような21世紀的状況に応答できないという問題意識があったと思われる。本プロジェクト「文学研究とフィールドワーク」は、こうした議論を踏まえつつ、フィールド調査による「気づき」を通して、現実に関与するための想像力を文学の批評に取り戻そうとするものである。

その手始めとして、本報告ではUCCN文学分野の加盟都市であるマンチェスターとエディンバラを取り上げ、2025年8月に実施したフィールド調査をもとにそこで展開されているブック・フェスティバル、作家支援プログラム、リテラシー支援活動などの具体的事例を紹介する。分野を問わず、幅広い視点からのコメントを歓迎したい。

*本研究は 東北開発記念財団(令和7年度(前期)海外派遣援助)の助成を受けたものです。