2022年11月12日(土)、ブランチ仙台にて、学芸学部人間文化学科 櫻井美幸准教授による第8回地域開放講座『旅と人間』が開催されました。
ドイツ中・近世史を専門とする櫻井准教授は、「ヨーロッパ中世・近世の女性の旅―残された史料から何がわかるかー」というタイトルで、当時のヨーロッパ女性の「旅」に関する資料が少ない中、旅の実情をのぞきみるという趣旨でお話されました。
櫻井准教授は、「旅」の目的を、巡礼・商業旅行・布教という3つの種類に分け、当時の絵画や巡礼路の地図などを用いて、危険な交通路、泥棒や追剥にあうなど、女性の旅がいかに困難だったかを具体的な事例をとりあげてお話されました。その中でも、マージェリー・ケンプという女性は、エルサレム・ローマ、サンティアゴ・コンポステーラ、プロイセンと、生涯に3つの大きな巡礼をおこないました。他にも、ケルンの女性商人たちの巡礼、メアリー・ウォードの宗教布教の巡礼などの事例が丁寧に紹介されました。当時は、基本的に女性だけでヨーロッパを旅するのは「ギャロッピング・ガールズ」とか「気のふれた女たち」と呼ばれ、社会規範を逸脱した存在だと位置づけられていたということが、講義を通じてよくわかりました。終了後、イエズス会の影響に関する質問などが寄せられました。
本講座は、今回で終了します。今まで熱心に受講していただいた方々、本当に有難うございました。来年度の地域開放講座については、現在検討中です。詳細が決まりましたら、本学ウェブサイト上でお知らせします。人間文化学科では、今後も、本学科教員による研究成果を社会に還元し、地域とのみなさまとの連携を深めていきたいと思います。