2021年12月10日(金)、国際ワークショップ「グローバル・ダイアローグ:北欧とつなぐ・地域子ども学の視点」を開催しました。
「日本とフィンランドの出産・子育て文化を考える」をテーマに、学内外の多くの関係者にご参加いただきました。
第1部「社会で子どもを育てる―日本の子育て支援を問う」では、子育ての比較文化人類学で著名な木脇奈智子・藤女子大学教授に報告いただきました。
第2部 「フィンランドにおけるマタニティ医療と子どもの健康支援:その歴史と現代的展開」〝Maternity clinics and child health clinics in Finland: Historical roots and contemporary developments″(報告は英語)では、ゲストスピーカーに、ヘルシンキ大学講師の Anna Leppo先生(母子健康、社会政策)を迎えました。その後の意見交換会では学生、市民から活発な質問が寄せられました。
司会(日英)を担当した本学学生による感想を紹介します。
アンナ・レッポ先生、木脇奈智子先生のご報告をうかがって(感想)
「フィンランドには、保育システムや、妊婦や子どもたちに無料の医療的ケアサービスが提供されていて手厚い制度があり、日本とは大きく制度が異なるとわかった。
フィンランドではパブリック・ヘルス・ナース(日本でいう保健師に近い)が、医療的ケアのみならずメンタル面のケアも行っている。そこに住む人たちは、日本に比べて税金を多く払わなければならないが、十分な教育制度や年金制度など高い税金に見合うような制度が充実している。今の日本は、女性が子育てすることが当たり前になっている。女性からの目線だけではなく、男性からの目線での制度なども必要になってくる。フィンランドでは、「あなたたち(親)ではなく、私たち(社会)の子どもである」という事を子育ての理念に掲げ、ネウボラという子育て支援、家族支援制度がある。日本でもネウボラという言葉が浸透しつつあるが、現地(フィンランド)で使われる言葉の意味とは違うように感じた。
このようなことから日本は子育て支援制度がかなり遅れているという事がわかる。日本ではいまなお多くの人が思い込んでいる「子育ては女性がするものだ」という考え方から抜け出し、子育てすることは女性の問題だけでなく社会全体で考えなければならないと感じた。さらに母親からの目線も大切であるが、父親からの視点も重要になってくると思う。」
(学芸学部・英文学科学生 赤間芽依・工藤真由)
今回のグローバル・ダイアローグの開催を通して、SDGsの開発目標「すべての人に健康と福祉を」「ジェンダー平等を実現しよう」の一助になればと思います。
(地域子ども学研究センター)