2021年2月10日(水)、「災害女性学をつくる」2021出版記念報告会をオンラインで開催しました。
東日本大震災から10年、被災地の女性支援に携わってきた経験をもつ浅野富美枝(元本学生活文化デザイン学科教授)と、女性学を専門とする天童睦子がタッグを組んで生まれた『災害女性学をつくる』(浅野富美枝・天童睦子編 生活思想社 2021年1月刊行)は、平常時には見えにくい「女性の経験」を可視化し、ジェンダー平等社会を生きる市民のエンパワメントに寄与することを目的として編まれたものです。
オンライン報告会の様子
浅野、天童の趣旨説明に続き、報告「避難生活における女性支援とその課題―福島原子力災害がもたらしたもの」(薄井篤子 特定非営利活動法人埼玉広域避難者支援センター副代表)では、避難の問題は現在進行形であることが指摘されました。薄井氏は、東日本大震災、とくに福島の原子力災害により遠く離れた場所への避難を余儀なくされた人々、なかでも埼玉に避難した女性たちの経験と、それを支える女性グループの活動を紹介し、「避難する権利」の保障、ジェンダー視点をもった災害ケースマネージメントの必要性を述べました。報告会には宗片恵美子氏(NPO法人イコールネット仙台代表理事)はじめ、畑山みさ子氏、浅野幸子氏、瀬山紀子氏と、執筆者全員が顔をそろえました。コメンテーター長谷川公一氏(尚絅学院大学大学院特任教授)は、コロナ禍の世界情勢をふまえ、災害研究と女性視点の意義を浮き彫りにしました。
畑山みさ子氏(本学名誉教授,ケア宮城代表)
本報告会には、宮城、東北をはじめ、沖縄、九州、四国、関西、東海、中部、関東、北海道と文字通り日本中から女性支援の実践者、女性学・ジェンダー研究者、議員、NPO、メディア関係者が集い、130名を超える参加者がありました。本学学生の準備段階からの協力、そして皆様のご参加に感謝します。
本報告の資料、および映像資料は本学「地域子ども学研究センター」のホームページにアップ予定です。(2021年3月3日―11日まで)
視聴ご希望の方は下記あてにお問い合わせください。問合せ先:childfuture-c@mgu.ac.jp
*本報告会は宮城学院女子大学・研究ブランディング事業「地域子ども学研究センター」の後援によるものです。(文責 天童睦子 本学一般教育部教授)