1月13日(木)4校時に、マーケティングリサーチセミナーを開催しました。この企画は、就職活動開始目前の3年生を対象に、マーケティングリサーチ事業を展開するマクロミル社からゲスト講師の大角桃子先生をお招きして、お話を伺うものです。昨年度はオンラインでの開催となりましたが、今年度は満を辞して対面での実施を予定しておりました。しかしながら、セミナー当日、郡山駅の構内で線路のポイントが切り替わらなくなった影響で、東北新幹線が運転を見合わせ、ゲスト講師の大角先生が開始時刻に間に合わない可能性があることから、急遽オンラインに切り替えての実施となりました。
本セミナーは、マーケティングリサーチと心理行動科学科との学びのつながりについて確認し、本業界について知ることを通して心理学が実社会でどのように活かされているのかを理解すること、そして卒業論文や研究に役立てていくといったことを目的として行いました。
まずはじめに、マーケティングリサーチ活動についてお話しいただきました。企業はモノやサービスを届けていますが、そのモノをどういう人に買って欲しいのかを定めて、その人たちにしっかり届けたり、欲しいなと思ってもらう様々な仕掛けや刺激というのを用意している。といったことを、近年「バズった」ある商品を取り上げながら具体的かつ分かりやすくご説明いただきました。
実際のリサーチ活動の流れとして、はじめに「ターゲット=最も買って欲しい相手」としているのはどんな消費者だろう?を性別や年齢などから、その製品が抱える課題を考えるそうです。これらは我々が調査をする際に、研究の背景やこれまでに既に分かっている知見や実態調査などから「課題」を考え、研究のデザインを練ることとつながる部分が多くあります。
これらを様々なデータソースを活用し、消費者を「多角的」に分析し、本質的な課題解決を行うそうです。こういった「多角的」な視点も、心理学の学びとの共通点ですね。
また、心理学のどのような学びが本領域に活かせそうか?についてもお話しいただきました。人の行動に興味を持ち、その裏側の「なぜ?」を探りに行くといったことや、消費者の「なぜ?」を様々な角度から解き明かし、「じゃあどうする?」を施行していくといったこと、そして「仮説」を立てて、「検証」する力も心理学の学びを存分に活かせるのではないかとお伝えいただきました。
後半には、ワークに取り組みました。とある大手テレビゲーム制作会社向けに提案書を作成するといったものでした。具体的には、課題解決に向けて、1)誰に調査するのか、2)何を聞くのか、3)調査結果を何に活かすのか、についてまとめる作業を行いました。参加者は、依頼者のニーズに沿って的確な提案をすることがいかに難しいかを実感していたようです。
最後の質疑応答では、マーケティングリサーチに関わっている大角先生のご体験について話題が及びました。そこでは、スピード感を持って意思決定をする必要性や、スピード感があるマーケティング活動に対してタイムリーに情報を提供していくことが難しくもやりがいがあるといったお話や、携わった案件が、実際の世の中で役立っていることが「いちユーザー」として実感できることに面白さを感じられているといったことを伝えていただきました。
ここで、参加した学生の感想の一部をご紹介します。
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・とてもわかりやすい説明だった。私が本学科に入学したのは、人の行動に興味があったからなので、マーケティングという仕事にとても興味が湧いた。ミニワークでゼロから作ることが難しかったけど、楽しかった。
・変化していく時代の中で、商品が売れることの背景には、多くのデータが成功の鍵であることに気づけた。コロナの影響について、見方や考え方を変えることで、商品の利用者を増やすことができるため、「リサーチ」がビジネスにおいて重要であることが分かった。
・マーケティングという横文字に苦手意識があり、知ろうとしていなかったが、大学で学んできたことを活かすことができる、非常に面白い仕事であることに気づくことができた。
・マーケティングリサーチという言葉が難しそうで無意識に自分から遠ざけてしまっていたが、自分から離れているようで身近に沢山存在していて、間接的に関わっていたのだと気づくことができた。
・まだ目指したい業種を明確に決められていないため、自分の視野を広げたいと思い参加した。ワークを体験することで、実際の事業内容をイメージすることができた。人の心を掴むことが事業内容の中心にあるというのは、とても素敵なことだと思った。
・心理支援職が心理学を活かす仕事として思っていたが、マーケティングリサーチがここまで心理学を活かすことができると知り、驚いた。就職活動において、職業を知るということがいかに大切か実感した。
・ヒット商品の裏側には、緻密なマーケティングリサーチがあったのだと衝撃を受けた。人(消費者)の購買行動に焦点を当てて考える心理学的側面があるところに関心を持った。
・どのような調査を行うかといった細部まで考える必要性は、心理学の実験や調査と同様であり、多くのデータを集めて分析し、考察することは重要だと感じた。
・人の行動からその心理を究明する点が「心理行動科学科」にぴったりであると感じた。また、実際に行ったミニワークを通して、人や世間に求められることは何かを考え、よりよくなるように改善するお手伝いをする点がとても魅力的であると感じた。
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今回のセミナーを通して、私たちはwith COVID-19時代によって様々な環境の変化を余儀なくされていますが、それに伴いwith COVID-19時代の様々なデータが不可欠ということが分かり、マーケティングリサーチ事業は、今後、より一層社会的ニーズや社会的意義が高まっていく活動であることを実感しました。大角先生、急遽のオンラインでの実施でしたが、貴重なお時間をどうもありがとうございました。
(千葉陽子記)