キャリア支援企画(2)「シリーズ:心理学を現場で活かす〜法務教官〜」を開催しました

7月30日(金)の5校時に、「法務教官等に関する講習会」と題して、現職の法務教官等の先生方をお招きして、少年院等の施設における「実際のところ」についてお話をうかがいました。心理学を少年犯罪に活かす仕事(公務員)について学びを深める機会です。

講師には、加藤唯衣先生(青葉女子学園 専門官)、工藤恭兵先生(東北少年院庶務課 専門官)、山田貴洋先生(東北少年院庶務課 課長)をお招きしました。

加藤先生からは、女子少年院についてその構造やプログラムの内容等について聴かせて頂きました。「マインドフルネス」や「アサーション」といった心理学で学んだことが実際に活かされていることや、少女たちの心理的特徴や犯罪に至った背景について理解を深めることができました。また、工藤先生からは少年たちと日々どのような関わりをなさっているか現場の声を聞かせて頂きました。一つの言葉をかけるにも一辺倒な言葉ではなく、目の前にいる少年の個別性に注力し、葛藤されながら関わる重要性、いわばカウンセリングの本質のようなところをお伝えいただいたように思います。さらに山田先生からは「インターネットと人権」についてVTRを視聴し、我々の身近にあるSNSにおける人権侵害について考える機会をいただきました。

全ての講習会を通して、ひとりの人間の人生に関わる、寄り添うという点では、心理学的な視点が切り離せないことがひしひしと伝わってきました。

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今回は2~3年生の約26名が参加しました。以下、参加者の感想の一部をご紹介します。

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・今回の講習会を通して、さらに心理系(公務員)の仕事を目指すために頑張りたいと思った。

・「表現教育」が印象に残った。「表現」ができるということは大切だということを学んだ。

・ひとりの人生にこんなにも影響を与えることができる仕事に興味を持った。

・大変だけど人が変わった瞬間に立ち会える、やりがいを感じるということが印象的だった。

・人間の心を変える、日々成長を見守ることができるのは簡単なことではないけれど、私のしたいことはこういうことなのかもしれないと思った。

・法務教官に求められる率先垂範や共感力、責任感などは全ての職業に通じると思った。

・厳しく矯正していくという印象を持っていたが、共感を持った厳しさを持っていることが伝わった。

・「一人の人間の心を動かす」、大変だけどその分やりがいも大きい仕事だと感じた。

・難しそうな仕事で自分とは無縁だと思っていたが、心理学の学びとのつながりを知り、親近感と興味が湧いた。

・非行少年に限らず人間関係でも、どうしてそうなったのかという理由を考えることを意識して関わっていきたいと思った。

・少年たちとともに自分自身も成長できる仕事だと思った。

・その子の根底にあるものは何か、どんな小さな行動や言葉でも見逃さず、真正面から向き合うことが大切であることを学んだ。

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それぞれの先生方のお話に対して、参加者が質疑を積極的に行っていた姿が印象的でした。時間が許すのであれば、もう少し質疑応答をしてみたかったという感想も寄せられました。

本講演会はキャリア支援も兼ねており、講習会が刺激となり、自身のキャリアについて考えるきっかけとなったようです。

加藤先生、工藤先生、山田先生、このような社会の趨勢の中、本学までお越しいただき貴重なお話をありがとうございました。

(千葉陽子記)