近代建築6月号別冊に卒業研究が掲載されました

近代建築6月号別冊「卒業制作2022」が発刊されました。

本学からは2021年度卒業した吉野瞳さんの卒業研究「山裾集落における住み継がれる土地・住宅の提案」(2021年度桜賞受賞作品)が掲載されています。

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近代建築6月号別冊 p.36 – 37

 

書店等でも販売されていますので、興味のある方はぜひお手にとって御覧ください。

作品への教員による「推薦の言葉」を引用しておきます。

計画地の宮城県村田町は設計者の吉野瞳さんの出身地であり、設計作品の対象はその実家のリノベーション計画となっている。身近な素材から、地域や個人が直面する課題を丁寧に考え、建築設計という自分の専門分野で正面から取り組んだ作品となった。

地域や敷地の環境という視点では、農業の担い手不足、過疎化といった課題の解決を目指している。農地の共同化や、クラインガルテンの手法による貸し農地としての可能性をさぐり、敷地の大半を占める農地の持続可能性を検討している。それに伴って、専用住宅として建てられた建物に農地管理のための事務所を併設させるリノベーションを計画している。

一方で、住宅の住みてという視点では、家族形態や、世帯人数の変化、居住者の高齢化にともない、建物の減築、バリアフリー化が検討される。住宅に併設される貸し農地管理事務所とプライベート空間の分離を含め、実現性の高い計画となっている。具体的には減築と構造検討による建物安全性能の向上を計画し、プランニングとの整合性を両立している。また、夏期の日射制御、冬期のダイレクトゲインを考えた庇や中間領域の挿入から、外皮平均貫流率をもとに外皮性能の向上まで検討し、建物全体の省エネルギー化をはかっている。

実家のライフステージの変化によるリノベーションを、地域の持続可能性、建物の長寿命化といった社会的ニーズに関連付けてとらえた意欲的な作品となっている。

宮城学院女子大学生活文化デザイン学科 教授

安田直民