「吉永小百合原爆詩朗読会」活動報告

 4月14日、名取市民文化会館にて吉永小百合原爆詩朗読会が開催されました。

 今回、研究生から新1年生までの19名の音楽科学生有志で合唱として参加させていただきました。君の歌プロジェクトとして全ての学年が揃っての活動は初めてで、また、初めて宮城学院中学校・高校の音楽班の学生とも一緒に歌うことが出来ました。
 お話をいただいた直後、春休みや新学期ということもあり参加者は2年生から研究生までの13名程でした。本番一週間前の事前打ち合わせで会場の広さを実感し、急遽入学したばかりの1年生からも参加者を募集することに決めました。1年生向けに、合唱練習に見学に来ませんかという内容のチラシを作り、先生や参加者の皆さんに配布の協力をお願いした結果、参加したいという声をいただきました。
また、原爆詩朗読会ということでどのような選曲にするか何度も先生方と話し合い、平和や当たり前の毎日に感謝をする、前を向いて生きるということを考え、「The Lord bless you and keep you」、「今日もひとつ」、カッチーニの「アヴェマリア」、音楽科の授業で作詞作曲された「君の歌」の4曲を歌いました。春休み中から多く練習を行ったため、広い会場で声を遠くまで飛ばすためにはどうしたらいいのか、言葉が聴こえるように歌うにはどう歌えばいいのかなど、参加者全員が意見を交わし充実した練習となりました。演奏を行ったのは私たちだけではなかったので、その中でどのように印象を残すか、というのも課題となりました。
 朗読会当日、私達の合唱は1部と、吉永小百合さんの朗読の後にありました。吉永さんの朗読は直接心に響くような重いものでした。そんな中、ステージ袖で聞いていた私達はどのような気持ちで歌えばいいのかと戸惑い、吉永さんの作られた雰囲気を壊さないよう、祈りの気持ちを込めて 「アヴェマリア」を 歌いました。
 吉永小百合さんとはプログラム最後の全体合唱で同じステージに立たせていただきました。朗読を終えたばかりの吉永さんは、作文を発表した小学生と手を繋いで合唱に参加されていました。大女優である吉永さんの側で一緒に歌わせていただけるというだけでとても感激し、貴重な体験をさせていただいたのだと実感しました。
君の歌プロジェクトは多くの方々に支えられ、活動を行ってきました。本番では、君の歌プロジェクトが活動の目標としている「音楽の力」を、会場の皆様にお届け出来たのではないかと思います。これからも様々な演奏の場面の中で、音楽の力を十分に伝えられるよう取り組んでいこうと思います。

君の歌プロジェクト代表 佐藤麻衣 高橋佳那

 私が住む名取市で、東日本大震災で被災した市内の子供たちを招き、原爆詩の朗読会が行われることを知って、司会を務めることを決心しました。大勢の前でマイクを持つことに不安もありましたが、めったにない貴重な体験でもありましたし、やはり名取市に住む一人として、この朗読会に関わりたいという気持ちがあったためです。
本番までに、打ち合わせやリハーサルで何度かステージに上がる機会がありました。今までステージで何かをするという経験がほとんどなかった私にとって、「観る立場」ではなく「観られる立場」に立つことはとても新鮮でした。ですが一方では、日を追うごとに司会者としての自覚もはっきりしてきて、あの広い会場いっぱいに観客が入ることを想像すると、成功させたいという思いと自分に務まるのかという不安が入り混じって、焦燥感もありました。
 当日はのどを壊してしまったこともあり、どう話したら聞こえやすいのかを私も考え、宮城学院の先生や舞台の方々からも多くアドバイスをいただき、助けていただきながら開演を迎えました。実際にステージに立ってみると、スポットライトが当たり、広い会場に私の声だけが響き渡ります。特に吉永小百合さんをご紹介するということもあって、緊張して、なかなか思うように話せない部分も多々ありましたが、出来るだけ安心して聞いていただけるように私なりに心がけました。
 吉永小百合さんがステージに上がると、大きな拍手の後に一気に静まり返ったのがとても印象的でした。吉永さんの一言一言は、決して大声ではないのに力強く、場景が鮮明に浮かんできて、この時だけは緊張感を忘れて聞き入っていました。
 今回「吉永小百合 原爆詩朗読会」に参加して、司会者としてはもちろん反省点もありますが、多くの方に助けていただきながら、とても良い経験をすることが出来ました。また、東日本大震災も原爆も、「忘れないこと」、「伝えていくこと」がいかに大切であるかを私自身改めて感じることができました。いま、原爆に関する詩集を読んでいます。私なりに学んだことを行動に移し、生かしていこうと考えています。

日本文学科3年 向谷地香里

 

lac20120514