音楽科准教授 井坂惠

私は、音楽科声楽実技担当の井坂 惠(いさかめぐみ)です。
宮城学院女子大学音楽科での2年目を迎えました。学内では、声楽実技の他、合唱、オペラ基礎演習、レパートリー研究(日本歌曲)、重唱など、主に声楽に関する授業を受け持っています。その中で、「合唱」の授業は、声楽専攻者だけでなく他の専攻生、文化系の学生との合同授業です。「合唱」を受講している学生たちは、入学式や音楽科コンサート、クリスマス礼拝、学位記授与式では、校歌を含め沢山の曲を演奏します。

礼拝堂でのクリスマス礼拝(讃美歌唱)の写真です (^◇^)

私は、子どもの頃から歌を歌うことが大好きでした。
いつも知らないうちに何かしら、歌を口ずさんでいたように思います。その時々、気になっている歌、知ったばかりの歌を、ただ愉しく歌っているような子どもだったのでしょう。また、近所の教会に通う友人と一緒に、日曜学校に通い、讃美歌を歌うのも大好きでした。本学内にある礼拝堂のような素敵な教会ではなかったと思いますが…失礼…それでも広い空間に音が響くのは、とても楽しい素晴らしい体験でした。そんな時に、私は声楽の勉強を始めました。また、その頃初めてオペラを観たという体験が、いつしか私の夢「オペラ歌手になる」ことへと導いてくれたのだと思います。2年前に会った高校時代の同級生には、「まだ歌を歌っているんだ。いつも歌っていたもんね!」と言われ、「そんなに長く続けてきたのだなぁ。」と自分でも驚きました。

 

最近になってよく思うのは、人生を拓いていく鍵は「何にこだわって生きるか!」ではないかということです。私は何が好きなのか。それを続けていくにはどんな勉強が必要なのか。それを仕事として、私は生きてゆけるのか。好きなことを仕事にするのは大変だから…と、始める前に諦めるのではなく、好きなことを勉強しながら、新たな道を目指すことも大切なのではないでしょうか?

 

私は「歌を歌いたい!」「この役が歌えるまでは…」「この舞台に立てるまでは…」という思いだけで、ずっと続けてきたのだと思います。それは、楽しいことばかりではなく、辛いことや、我慢しなければならないことも沢山ありました。
ピアノでも声楽でも、ヴァイオリン、フルートでも…何でも毎日コツコツ勉強しなくてはならないのです。すぐに上達できるわけではありませんが、1週間、1か月、半年と経つうちに、どんどん変わってゆく自分に出会うことができ、お客様を前にする演奏会で感じるその達成感は、なにものにも代えがたいものとなるのです。この達成感は、いつしか自信にもつながってゆき、色々な場面で自分自身を助けてくれる強い味方ともなるでしょう。

私が初めてオペラに出演した時の写真です。この経験から、やめられなくなりました !(^^)!
(フンパーディンク作曲 “ヘンゼルとグレーテル” のヘンゼル役)

 

まだ宮城学院2年目の私ですが、ここでの充実した日々には驚くばかりです。宮城学院女子大学音楽科は少人数制の為、一人一人の顔がよく見え、しっかりと時間をかけて勉強してゆける場所です。礼拝での奉仕歌唱だけでなく、火曜コンサートや木曜コンサート、音楽科コンサート、近隣地域からの演奏依頼によるコンサート活動など、多方面で演奏する機会も沢山あります。また、苦手な分野を克服するために教員に個別に質問できる機会や時間があったり、卒業生から直接お話が伺って自分の将来について考える機会もあり、とても恵まれた環境にあると思います。

 

毎年秋に開催される「音楽科コンサート」は、学内オーディションに合格した学生を中心にプログラムが組まれるとても大きなコンサートです。学内オーディションは、1年生から受けることが出来、何度でもその出演の機会を得ることができます。今年は、合唱も学内オーケストラ(1年次からは管弦楽器の個人レッスン、2年時には全員がオーケストラに参加することができ、その後も再履修出来ます)との協演もしました。

今ではインターネットで色々な情報を得ることができますし、交通手段にも恵まれています。仙台だから、東北だから、音楽の勉強がしにくい、ということはありません。4年間、環境の整った本学で学び、将来の夢に向けしっかりと地固めをし、聴きたい演奏会のある時には、市内だけでなく、県外へも通う。そうやって力をつけたところで、さらに勉強を続けたい人は、県外へ、あるいは海外へと飛び出していったらよいと思います。

 

私がこれまでに勉強してきたこと、経験してきたことを、皆さんのお役に立てることができれば、これほど嬉しいことはありません。また、音楽の勉強は一生をかけてしてゆくものですから、私もまだ道半ばの者です。これからも私自身の勉強を重ね、皆さんと共に成長してゆきたいと思っています。

 

私は今、フンパーディンク作曲のオペラ“ヘンゼルとグレーテル”のお母さん役(秋田・アトリオンホール公演)とプッチーニ作曲のオペラ“マノン・レスコー”の音楽家役(東京・新国立劇場公演)の準備をしているところです。どちらも初めての役ですから、準備もしっかりしなければなりません。厳しく感じることもありますが、やりがいのある素晴らしい仕事だと思っています。思えば、初めてのオペラ出演がヘンゼルの役でした。それから数十年、初めてお母さん役に挑戦します。みなさんと、歌の世界、音楽の世界を一緒に楽しみ、探ってゆけたらと願っています。