発達臨床学科准教授 石川隆

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皆さんこんにちは、発達臨床学科の石川です。

 

 私は主に、美術・造形関係の授業を担当しています。科目名でいうと、1年生の「保育内容(表現)」、2年生の「図画工作I」「保育内容指導法(造形)」などがあります。
 私が受け持っている学生の大半は、将来、保育士や幼稚園教諭や社会福祉施設職員など、「子どもとかかわる仕事」に就くことをめざして勉学に励んでいます。私はその様な現場で役に立つ美術や造形の知識・技能を身につけてもらうための授業をおこなっています。

 

子どもの美術・造形というと、まずは何といっても絵を描くことですね。将来、自分も子どもとかかわる仕事に就きたいと考えている皆さんの中には「絵を描くのはちょっと苦手だな」と思っている方も多いと思います。学生の中にも、絵を描くことに対して苦手意識を持っている人が結構多いように思います。
 でも、子どもとかかわる先生が絵が苦手では、子どももやはり、知らず知らず苦手意識を持ってしまうのではないでしょうか。

 別に絵が描けなくても何も不自由することはありませんが、「絵を描く」という表現活動を基盤として、人間がおこなう様々な表現活動を理解したり、ひいては表現活動をする人間そのものに興味関心を持ち、理解してゆこうとする意欲や力を身につけてゆくことができるのではないかと思います。

 自分がまず表現することを楽しみ、人が表現する物を見たり聞いたりして楽しみ、その人を理解し、お互いに理解を深めることができたら、こんな素晴らしいことはないのではないでしょうか。
 話が飛躍しすぎるかもしれませんが、すべての人間が絵を描き、それを発表し合い、理解を深め合えたら、世界平和だって夢ではない!と思っています。「自分は絵が下手だから…」などというちっぽけな考えは捨てて、恥ずかしがらず、図々しく、堂々と開き直って絵を描いてください。そしてその素晴らしさを子ども達に自信を持って伝えていってほしいと思います。

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絵を描く場合に大切なことは、上手か下手かということではありません。「生きているか」「死んでいるか」ということが重要です。
 上手に描けていても「死んでいる」絵ではいけません。たとえ下手でもその絵が「生きている」絵であれば、それは見る人に十分なパワーを与えることができます。気持ちが縮こまっていたり、窮屈だったりすると、絵は死んでしまいます。たとえ嫌なことがあって気持ちが落ち込んでいても、絵を描くときはしぼんだ心を大きく広げて、伸び伸びと、ゆったりと、自分が女王様?にでもなったような気持ちで描いてください。自分以外の何ものかになりきることも大切かもしれません。

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「上手は下手の手本なり。下手は上手の手本なり。」という言葉があるそうです。上手なだけの絵は退屈でつまらないものです。下手でもいいから、「生きている」、「面白い」絵を描いてください。「生きている」、「面白い」は美術の世界では最高の誉め言葉です。上手、下手を気にせず、「生きている面白い絵」を描きましょう。

 

 かなり好き勝手なことを書いてしまいましたが…
 どうぞ皆さん、世界平和のためにも、絵を描くことをあきらめないでください。