教員のリレーエッセイ:生活文化デザイン学科 准教授 須田 眞史

生活文化デザイン学科の須田眞史(すだ まさふみ)と申します。
専門は建築デザイン論・建築計画です。建物を設計したり、敷地や周辺環境、建物の使われ方などを調査分析して、設計するための諸条件を検討する分野です。
今回は生活文化デザイン学科の設計教育をご紹介します。

まず1年生では、図面の読み描きと模型の作り方、パソコンでの製図方法を学び、2年生から実際に自分で考えて建物を設計する演習が始まります。小さな住宅から始まり、学年が上がっていくにしたがって美術館や図書館などの公共建築や、集合住宅のような規模の大きな建築を設計します。そして、4年生になると卒業設計を行います(論文か設計かの選択制)。

2年前期の初めての設計課題は、仙台都心の実在する敷地に、「将来の自分と家族のための家」を設計します。毎週の授業では、各学生は自分の案を図面と模型にして持参します。
そして、教員と個別に案の相談して(エスキスといいます)、改善した案をまた翌週に持参してエスキスするということを8週繰り返します。ですので、1つの課題を完成させるまでに、たくさんの図面を描き模型をつくることになります(写真1)。

なにぶん初めての設計ですので、誰でも最初から上手くはできません。写真2は初回の平面図です。必要諸室(リビングやキッチン、家族それぞれの部屋、水まわり)をレイアウトするだけになってしまっています。少しでも広く部屋を取りたいのでしょうか、敷地いっぱいに建て込みすぎていて、室内と外部空間との関係が検討されていません。

しかし、エスキスを重ねるにつれ、それぞれの部屋の繋がりや、敷地の周辺環境との関係を検討できるようになっていきます。この学生の案は、プライバシーを重視して建物の外周は閉じて、その代わりに中庭を作って各部屋が中庭に開くかたちになりました。最初は中庭が小さかったのですが、徐々に中庭が大きくなっていきます(写真3、4)。

そして、こうしたエスキスを繰り返した8週目の授業が最終提出・プレゼンです。最終提出では、図面はコンピューターで描き、模型はインテリアまで表現します(写真5、6)。

最終案では、中庭を中心にして、大きな空間がゆるやかに領域分けされていることが伺えます。

設計にはひとつの決まった答えはありませんので、学生の数だけいろいろな作品が出来上がります(写真7)。ただ単に設計するのではなく、みんなそれぞれテーマを定めて、ベストな建築を創っていきます。

設計は難しい分野だと思うかもしれません。もちろんいきなり設計ができるようにはなりません。設計はスポーツや楽器の演奏とよく似ています。頭で考えているだけではできなくて、体を動かさないとできません。たくさん手を動かして図面を描き、模型をつくり続けることで、最初はぼんやりとした設計案が徐々にかたちになっていきます。
このような学生の成果物は、オープンキャンパスや学科展(次回は2020年2月11、12日@せんだいメディアテーク)でみることができます。設計した学生の声も直接聞くことができますので、是非足をお運び下さい。