教員のリレーエッセイ:日本文学科 教授 志村 文隆

こんにちは。学芸学部日本文学科の志村文隆です。日本語学が専門で、特に北海道・東北地方や沖縄の方言を研究しています。

写真1は、沖縄県宮古島市の北方に位置する池間島(いけまじま)の漁港で、私の「仕事場」の一つです。島の漁師たちが使う天候を表すことばの中には、沖縄で古くから使われ続けてきた方言が色とりどりに残っています。こうしたことばを知るためには、実際に現地に出向き、地元の方から直接ことばを聞き出すというフィールドワークが欠かせません。

授業では、ことばを調査する様々な方法も教えています。日本文学科のゼミ生たちと一緒に、現代の日本語、たとえば身近な若者語を調べたり、各地で方言の聞き取りなどをします。
写真2・写真3は、宮城県北の街で地元の方に質問をしているところです。きちんとした方法を用いてことばを調べると、必ず新しい事実に出会えます。
調査がうまくいった時の喜びはひとしおです(写真4)。

数年前から、中学生や高校生が学校で使うことばを調べる作業もしています。皆さんは、「学校内ではく靴」のことを何と言いますか?
ためしに、日本文学科のオープンキャンパスの企画の一つとして、高校生の皆さんにいくつかの項目を尋ねてみました。出身地の地点に自身が使うことばのシールを貼ると、方言地図が完成していきます(写真5)。
「ウワバキ・ウワグツ類」と「ウチズック類」との間に大きな地域差がありそうです。方言は、若い人の身近なところにもあるのですね。

日本語は多様性に満ちています。方言は標準語が崩れたものではなく、生活のことば、普段着のことばとして各地にあり、使われてきました。若者語も日本語の広がりの一つですね。
皆さんもバラエティに富む日本語の世界に触れてみませんか。ことばとの出会いから自分を拓く道が待っています。