現代ビジネス学部 准教授 兼子良久

こんにちは。現代ビジネス学部の兼子良久です。

 

私が専門としているのはマーケティングです。大学では「マーケティング調査」「情報処理」などの科目を主に担当しています。まず、マーケティングとは何かについて説明しておきましょう。『芸能人がお菓子を食べているCMを見て、そのお菓子を買ってみようと思った』とか、『コンビニでジュースにオマケが付いていたので買ってしまった』という経験はありませんか?これらはマーケティングの一例です。様々な商品の中で、自分たちが販売する商品を選んでもらう仕組みを作る、つまり「売れる仕組みを作る」ことがマーケティングです。簡単に言えば、マーケティングは『新商品アイデアの考え方』から『価格の決め方』まで、ビジネスに関わるあらゆる面をカバーする学問なのです。

特にマーケティングにおいては、創造力とともにデータ分析の知識が必要になってきます。実務の世界では、新商品案を考えるにあたり「人はどのようなものを欲しているのか?」を調べる、新商品として「A案を採用すべきかB案を採用すべきか?」を決めるなど、マーケティング上のあらゆる場面でアンケートなどのデータを活用します。ビジネスには正解はありません。そのため、様々な可能性の中から、失敗の可能性が高いものを、客観的データをもとに排除して『失敗の確率を減らす』ことが重要になってくるのです。

私の研究内容について少し触れておきたいと思います。私が主なテーマとしているのは「価格」です。例えば、物を買うとき「何が何でも低価格が良い」と考えている人はどの程度いるのでしょうか。製品やサービス間では、いつも価格競争が起こっています。以前、スーパーマーケットの担当者と買い物客双方に、商品価格に対する意識を調査したことがあります。結果、企業担当者は、買い物客が『実際にそうである』以上に低価格が望まれていると考えてしまう傾向が見られました。このことは、消費者が期待する以上の値下げをする傾向が企業にあることを意味します。低価格志向の買い物客が増えたのは事実ですが、全体から見れば、それほど多いわけではありません。市場で利益をあげるには、商品を購入する消費者の心理をよく理解しておく必要があります。

あなたも社会に出て仕事を始めると、正解のない課題に直面することが多いと思います。そして、その時に必要とされるのは、課題に対する解答を自力で導く能力です。例えば、上司から「缶コーヒーの新商品アイデアを考えてきて」と言われたところで、ヒット確実なアイデアなんか誰も教えてくれませんし、そもそも正解などありません。結局、頭をひねって『正解かもしれないもの』を自分なりに導くしかないのです。大学では、どのような課題に対しても、自分なりに考えて自分なりの解答を導き出す能力を身につけて欲しいと思っています。