小野寺真さんに「私の経験を通して 共に生きるとは ~性の多様性と人権を問い続けよう~」と題して、ご講話をしていただきました。

宮城学院女子大学大学祭2日目の10月15日(日)に健康教育専攻主催の企画にて、「私の経験を通して 共に生きるとは~性の多様性と人権を問い続けよう~」と題して、にじいろCANVAS共同代表の小野寺真さんに来校いただき、ご講話をしていただきました。

小野寺さんのアイデンティティはトランスジェンダー男性であり、物心ついた頃から性別に違和感があり27歳でカミングアウトされました。自身の講演以外にも、宮城県や仙台市、企業、労働組合、各種学校でもご講話されております。

多様性の尊重についての理解が進んできていますが、まだまだ課題が残されています。あるいは、性の多様性に限らず、多様な他者の全てを理解することは出来ませんが、理解しようとすること、尊重しあうことが重要なのだと考えます。しかし、気持ちや考えに寄り添うことで私たちの“生きづらさ”を互いに、一緒に、考えること、この社会がより良いものになっていくために、人と人とが助け合っていくために大切なことを小野寺さんにお話ししていただきました。

参加してくださった方々の中には、養護教諭や保健体育教員など、将来、教育現場に出て、これからの社会を担う子どもたちの教育に携わる夢を抱いている学生も多くいました。今回のご講話をきっかけに、より“多様性”について関心をもち、教育の在り方を考えることができたと思います。

小野寺さん、ご多忙の中、素敵なご講話を本当にありがとうございました。

 

 講話に参加した学生、来場者より

〇相手のすべてを理解するのはできないという部分が印象的だった。自分が実際にカミングアウトを受けたら相手にとっての最善の行動がとれるのか心配だったが、自分がとるべき行動のヒントが得られた気がした。今を生きると過去の嫌な記憶に後付けができるという話があったが、私の場合は今がまさにその状況だ。後付けをまだまだしていきたい。

〇LGBTについて知っているつもりだったけれど、当事者のお話、気持ちを聞いて、まだまだ知らない部分も多く、私が想像する以上に辛さ、大変さ、生きづらさを抱えていたことが分かった。「多様性」が認められる社会になっていても、まだまだ差別や偏見が根強く残り、カミングアウトできずに苦しんでいる人もいると思う。学校現場にもLGBTの悩みを持っている子どもたちがいることを理解し、その子たち性別関係なく周りと同じように学校生活を楽しめるよう、養護教諭は寄り添い、学校の当たり前や常識が全員に当てはまる思わないことがすごく大切だと感じた。また、「女らしさ」「男らしさ」ではなく「あなたらしさ」を認めて受け入れ、絶対に否定しないことも大切にしたい。

〇理解できなくても、受け入れられなくても、否定をしないという一言はこれから私が生きていく上で助けになっていくのではないかと感じました。養護教諭として子どもと関わる時に、私が否定してしまったら、その子の勇気を無駄にしてしまうことになるので、話してくれることに対して「ありがとう」と常に伝えられる養護教諭になりたいと思いました。

〇今回の講演を聞いて、「C(シスジェンダー)の人が何も考えなくて良い世の中」という言葉がとても心に残った。自分が不満に思うことについては改善できるように考えるが、それ以外のことにはあまり興味を示さないというのは残酷だと思った。誰にでも人権はあるし、みんな同じくらい生きやすい世の中にする為には、C(シスジェンダー)の人の意識を変えていくことが重要だと思った。最近、関心が集まっていることだからこそ、社会のしくみや偏見をなくせる時なのではないかと思う。

〇小野寺さんの中学時代のお話を聞き、保健体育の授業について今後考えていく必要があると感じました。実技の授業であると体の発達の差があるため男女でグループ分けをすることが多々ありますが、教師が何気なく行った行動が生徒によっては“生きづらさ”を感じさせてしまうと実感しました。保健体育教員を目指す立場として、生徒一人ひとりの“運動が好き”という思いは大切にしたいため全員が楽しくできる授業を行っていきたいと思います。