『儀礼と口頭伝承』
[風響社]
江口 一久 編/八木 祐子・手塚 恵子 編集
本論文集は、国立民族学博物館で開催された特別研究『アジア・太平洋地域における民族文化の比較研究』第9回シンポジウムとして、実行委員長の江口一久先生のもとでおこなわれた「儀礼と口頭伝承」の成果です。「儀礼と口頭伝承」のシンポジウムは、平成9年10月に、中国、モンゴル、韓国、日本、インド、スリランカ、アフリカなどの地域を対象として、報告者12名、参加者12名で、4日間にわたって報告と討論がおこなわれました。本学人間文化学科・八木祐子教授も報告者として参加し、連日、熱気ある議論が続きました。
残念ながら江口先生が不慮の事故で亡くなられ、論文集の刊行は宙に浮いた形となっていましたが、ほとんどの原稿が風響社に保存されていることがわかり、江口先生と師弟関係にあった手塚氏と八木教授が作業を引き継ぎ、3年がかりで刊行しました。
文化人類学のテーマが細分化する傾向にある現在、今となってはそうそうたるメンバーで、「口頭伝承」というテーマに真っ向から取り組んだシンポジウムは大変貴重なものであり、本論文集は当時の息遣いを伝える記録となっています。
八木教授は、まえがきと、ライフワークである北インド農村における儀礼と口頭伝承について執筆しています。儀礼と口頭伝承の入門書として活用いただける1冊です。