地域子ども学研究ネットワーク 連続ワークショップが開催されました。

『地域子ども学をつくる―災害、持続可能性、北欧の視点』(地域子ども学研究会編2022年11月 東信堂)の出版を記念して東京・白金、および宮城県石巻市でワークショップが開催されました。

第一回ワークショップは「地域における子育て支援:学際的取り組み」(2023年3月21日@明治学院大学白金キャンパス)を取り上げました。第一報告「地域における子育て支援―震災後の宮城から見る学術的・実践的課題」では、足立智昭宮城学院女子大学特任教授(発達臨床心理学)から、宮城のデータをふまえて震災後の子育て状況、子どもの発達上の課題が報告されました。第二報告では天童睦子宮城学院女子大学教授(教育社会学)が「地域子ども学と女性視点―東北と北欧の連環を視野に」と題して、地域子ども学の定義、『災害女性学をつくる』との関連、持続可能性とジェンダー平等の視点は東北と北欧の学術的・実践的連環の鍵となることを論じました。

コメンテーターに石川由香里立正大学教授、望月重信明治学院大学名誉教授を迎え、子どもを主体とする研究展開の意義や、子どもと地域社会を関連づける学問的布置について豊かな知見を提示されました。学際的メンバーの出席があり、社会学、教育学、建築学、保育、子ども学、また環境問題に詳しいNPO代表ほか参加者が活発に発言しました。それぞれの専門分野をふまえた質問、コメントが提示され、文化の継承や国際比較研究にも応用できる知見を得ることができ、有意義な研究会となりました。

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於:明治学院大学白金キャンパス
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続けて第二回ワークショップ「石巻の子ども・子育て・若者支援について語る会」(2023年3月27日@石巻レインボーハウス)を開催しました。子ども・若者支援と地域の課題、教育的課題を、石巻を中心に長年活動する4つの市民グループ、専門家との懇談から導き出しました。4団体は、NPO法人ベビースマイル(子育て支援)、NPO法人らいつ(子育て支援) NPO法人やっぺす(子育て、女性支援)、NPO法人TEDIC(子ども・若者支援)で、石巻市保健福祉部子育て支援課のご協力を得ました。

各団体からは、活動の経緯、子どもと親のニーズ、震災から年月を経てみえてきた課題が報告されました。これらを受け、専門的立場から3人の方にコメントをお願いし、菊池瑞穂先生(小児科医)からは子どもの発育、検診からみえる課題、清水冬樹先生(東北福祉大学)からは活動の具体的動向が確認されました。森田明美東洋大学名誉教授からは子育て支援に関する国、自治体の動向が整理され、当事者主体の子育て支援の課題が論じられました。また震災を経験した地域のつながりから生まれる文化創造の議論も提起されました。市民、企業の参加もあり、実りある内容となりました。開催に尽力くださった東北レインボーハウスに感謝いたします。司会 足立智昭、コーディネータ 天童睦子。(一般社団法人東日本大震災子ども・若者支援センター,地域子ども学研究ネットワーク共催)。

 

これらの活動を通して、地域子ども学という実践の「学」が地域の子育て支援に少しでも寄与できればと願っております。(文責 天童睦子)

 

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於:石巻レインボーハウス