10月15日(土)、地域子ども学研究センター2022国際シンポジウム「学力世界一 フィンランドの小学校の秘密を探る」が無事に開催されました。
本シンポジウムには、学内外から多数の学生、小学校関係者、保育関係者、教育委員会関係者など、多数ご参加いただき、盛会のうちに終了することができました。フィンランドの小学校の現状を知ることができる機会を大学祭企画として開催できたこと、ご参加頂いた皆様に感謝申し上げます。
基調講演のユッカ・サルピラ先生(フィンランド・エスポー市ペイゲンケーレン小学校 校長)には、フィンランド教育が力を入れている「リテラシー(読解力)」を高く維持する現場の取り組みについてご紹介いただきました。子どもたちが好きな本を教え合って、読むというのは、ごくごく自然な取り組みと思います。また、学力テストの活用の仕方については、教師の教授法改善のために活用するというのもうなづけます。
今回の基調講演の概要は、以下の通りです。
①教師は修士の教育を受け、生涯学び続ける存在であること、②校長は教師の教育をサポートする存在であること、③教師は教育の目標は与えられているが、その教え方は個人・チームに委ねられており、工夫の余地があること、④学校は基本的に無料という考え方が浸透していること、⑤教育は、信頼が大切であって、管理することではないこと、というフィンランド教育のエッセンスを学ぶことができました。このような考え方(マインドセット)を知っておくことは重要です。
また、フィンランドの教育問題について、子どもがSNSやゲーム漬けのため、睡眠不足に陥っており、授業に集中できないことがしばしば問題になるということでした。日本と共通する教育問題であり、幼児期からの生活習慣が確立されているかどうかといったことも関係していそうです。
指定討論者の今野孝一先生(宮城学院女子大学教授)には、日本の教師の働き方、ワークライフバランスの問題について話題提供していただきました。新卒で小学校の現場で働く卒業生の例を挙げ、朝早くから夜遅くまで働く教員の成り手が少ない理由について、ユッカ先生からワークライフバランスの整ったフィンランドの状況の説明がありました。
今後、フィンランドとの交流を通じて、本学の教員養成の質向上と改善のヒントが得られました。なお、川崎一彦先生(東海大学名誉教授)には、全般的なコーディネートに加え、学生と一般向けの分かりやすい通訳をお引き受けいただいたこと、感謝申し上げます。
以上
(文責:西浦和樹)